東京・京橋に新たなアートスポット誕生 TODA BUILDING Others | そのほか TODA BUILDING オープン 2024年11月2日、日本最大の古美術店街である東京・京橋に戸田建設の本社ビル、TODA BUILDING戸田ビルディングがオープンしました。戸田建設は創業1881年。1898年に当時職人街であった京橋に社屋を構えて以来120年余り、新たに竣工したビルは、社屋としては5代目、本社ビルとしては3代目となります。 地下3階地上28階建て、高さは165メートル。アーティゾン美術館が入っているミュージアムタワー京橋と隣接し、二つの高層ビルは調和するように設計されています。それもそのはず、2019年に竣工したミュージアムタワー京橋も戸田建設の施工によるもの。京橋が古美術店、画廊が多いエリアであることから、新たなアートの拠点「京橋彩区」として構想され、戸田建設のアート事業「ART POWER KYOBASHI」として推進されてきました。 右が新たに竣工したTODA BUILDING 左はミュージアムタワー京橋 エントランスロビーに展示された現代アート作品 戸田ビルディングはオフィスビルでありながら、1階から6階までの低層階が、芸術文化施設としてミュージアムやギャラリーが入り、エントランスロビーにはアート作品が展示されています。 エントランスロビーには、新進気鋭4名の現代作家の作品が展示されています。大きなアート作品がビルのエントランスに展示されているのはよく見かけますが、戸田ビルディングでは「更新性」のある展示として、Ⅰ年半毎に作品を展示替えするそうで、芸術文化エリアの目標である「新進アーティストの育成」および「情報発信の育成」の一環として考えられています。 小野澤 峻《演ずる造形》2024 Photo: ToLoLo studio 毛利悠子「分割された 地震動軌跡模型 I」2024 Photo: ToLoLo studio 野田幸江《garden -a- 〈この風景の要素〉》2022–2024 Photo: ToLoLo studio 持田敦子《Steps》2024 Photo: ToLoLo studio ミュージアム・ギャラリーがオープン 5階のCREATIVE MUSEUM TOKYOは、ブリヂストン美術館(現アーティゾン美術館)学芸員を務め、館長としてスヌーピーミュージアムを成功に導いた中山三善が館長に就任。アニメ、マンガ、音楽などのポップカルチャー、現代アートを中心に年4回の展覧会を開催する予定。オープニングは「アニメ『鬼滅の刃』柱展―そして無限城へ―」。2025年3月2日まで開催されています。 3階はギャラリーコンプレックスとして、の4つの現代アートギャラリーが入っています。タカ・イシイギャラリーでは12月14日までグループ展、小山登美夫ギャラリーは12月7日まで杉戸洋個展、KOSAKU KANECHIKAでは12月14日まで十三代三輪休雪「エル キャピタン」、Yutaka Kikutake Galleryでは12月21日まで奈良美智企画の「ささめきあまき万象の森」が開催されています。 小山登美夫ギャラリー 杉戸洋個展 タカ・イシイギャラリー グループ展 Yutaka Kikutake Gallery 奈良美智企画「ささめきあまき万象の森」 十三代三輪休雪 “El Capitan” KOSAKU KANECHIKA KOSAKU KANAECHIKAは、小山登美夫ギャラリーから独立した金近幸作氏のギャラリー。天王洲にある「TERRADA ART COMPLEX」に続き2店舗目の出展だそうです。 工芸にも関心の高いギャラリストであり、オープニングは、代々の萩焼窯元である十三代休雪を2019年に襲名した三輪休雪さんの個展「エル キャピタン」。《エル キャピタン》とは、アメリカのヨセミテ国立公園で見た花崗岩からインスピレーションを得たシリーズで、休雪白といわれる伝統の白萩釉、銀の釉薬をかけ、大胆な凹凸をつけた岩をイメージさせる力強い造形の作品。茶碗のシリーズとしてご存知の方も多いと思いますが、今回は、松の木を植えられたものを中心に、まさに巨石のような大きな作品が真っ白なギャラリーに並に、壮観の展覧会です。 「日常生活の中にアートを」ならぬ「アートの中に日常生活を」という発想のもとに、あえて店名を前面に出さないようにしたというベーカリー&カフェ「Tokyo 8分」をはじめ、カフェやレストラン、コンビニエンスストアも入り、開放的で休憩できるスペースもたくさん作られています。新たなアートスポットとして今後が楽しみです。 ベーカリー&カフェ Tokyo 8分 おまけ 内覧会では、1872年創業、京橋で150年以上愛される老舗和菓子店「桃六」の、ART POWER KYOBASHIのロゴの焼き印が入ったどら焼が配られました。 京橋の老舗同士のお祝いに心和みました。 Information 店名 TODA BUILDING TEL 03-3535-1471(お問い合わせは防災センターへ) 住所 〒104-0031 東京都中央区京橋1丁目7-1 URL https://www.todabuilding.com/ RELATED ISSUE 関連書籍 目の眼 電子増刊第4号(2025.6月) 林屋亀次郎の眼 デジタル月額読み放題サービス 今特集は、書籍「林屋亀次郎の眼」(2025年6月発行)の見どころを紹介。昭和初期の実業家・林屋亀次郎の人物像や、コレクションのなかから名品をセレクトして茶道具の必須アイテムを初めての方にもわかりやすく解説しています。茶道具の来歴や人となりを知ることで、コレクションへの理解が深まるきっかけになればと思います。 また今回から「シリーズ連載 目の眼的骨董遊学」と題し、各地の骨董街とそこに佇む古美術店を訪ねるレポート記事を紹介していきます。今回はそのスタートとして上野・湯島・本郷にスポットをあてていきます。 試し読み 購入する POPULAR ARTICLES よく読まれている記事 東西 美の出会い 日本・オーストリア文化交流の先駆け|ウィーン万国博覧会 History & Culture | 歴史・文化 骨董ことはじめ③ 青磁 漢民族が追い求める理想の質感 History & Culture | 歴史・文化 古唐津の窯が特定できる「分類カード」とは? Ceramics | やきもの 眼の革新 時代を生きたコレクターたち People & Collections | 人・コレクション 展覧会情報 装い新たに 荏原 畠山美術館として開館 History & Culture | 歴史・文化 連載|真繕美 唐津茶碗編 日本一と評される美術古陶磁復元師の妙技1 Ceramics | やきもの 稀代の美術商 戸田鍾之助を偲ぶ People & Collections | 人・コレクション 展覧会紹介 世界有数の陶磁器専門美術館、愛知県陶磁美術館リニューアルオープン Ceramics | やきもの ビンスキを語る ビンスキは どこからきたのか 〜その美意識の起源を辿る History & Culture | 歴史・文化 美術史の大家、100歳を祝う 日本美術史家・村瀬実恵子氏日本美術研究の発展に尽くした60年 People & Collections | 人・コレクション トピックス|刀剣文化の応援はじまる 「刀剣乱舞」の生みの親 ニトロプラスが刀剣文化の調査・研究に助成 Armors & Swords | 武具・刀剣 展覧会情報|大英博物館 ロンドン・大英博物館で初の広重展。代表作「東海道五十三次」など Calligraphy & Paintings | 書画