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縄文アートプライベートコレクション

いまに繋がる、縄文アートの美と技

Ceramics | やきもの

遮光器土偶 縄文晩期

今から約一万三千年前に始まった縄文時代——— 芸術という言葉を知らなかったであろう縄文人がつくった美しいメッセージ。
その力強い表現に惹きつけられる人はいつの時代にもいたのだろう。縄文の土器や石器などは、記録にある限りでは、江戸時代から蒐集されていたのだ。
今回は愛蔵されている個人コレクションの逸品をご紹介させて頂いた。

*この対談は『目の眼』2018年8月号に掲載されています。

Collection 1 長く幻の逸品と言われていた土偶

 

遮光器土偶 縄文晩期 高 19.5㎝

 

「先日まで金沢 21 世紀美術館にも出かけてました。売れっ子モデル並に大忙しかもしれません(笑)」

 

2015 年、井上恒一コレクションの逸品として、サザビーズ・オークションに出品され、約 50 年ぶりに公に登場したことで話題となった遮光器土偶。その大きさ、肉感的ともいえる温かみをもつ身体は、他の遮光器とはひと味違う。なにより少しとぼけたような、豊かな表情が愛らしい。

 

 

 

Collection 2 品のいいプリミティブ 縄文の香炉

 

香炉形土器 縄文晩期  青森県亀ヶ岡遺跡出土 高 約 13㎝

 

「以前は縄文のものを見せると怖いとか言われたりしましたが、人気が出てきて嬉しいですね」

縄文土器でも後期、晩期のものは造りが薄手で、技巧的で繊細になってくる。それでいて荒々しい力強さは失わない「縄文の透し彫り」が見事だ。

 

 

 

Collection 3 楽しい!可愛い!癒やしの縄文

 

左:ハート形土偶部分  右:土偶部分  縄文後期

 

私は縄文に限らず、色々なジャンルの骨董や魂のこもった美術作品が好きです。縄文は素朴で力があり、見ていて元気が出ますね。動物の作品も大好きです」

 

「脳土偶」、「キツネ」、「ハクション大王」、聞くとぴったり ! の愛称をもつ土偶たちは、みんなどこか楽しげだ。小さいのに丁寧に造られているところも、縄文人の心が伝わってくるようだ 。

 

右上から時計回りで 土偶頭部  縄文後期  高 3㎝/土偶頭部 2 点  高 約1㎝/足形土製品  縄文晩期  長約 7㎝/

  遮光器土偶頭部  縄文晩期 青森県三戸郡南部町 高 4.5㎝  「頭部が脳みそのようですよね」とコレクター氏

 

 

 

Collection 4 威厳ある隻眼の遮光器土偶

 

 

「縄文コレクターではありませんが、この遮光器土偶の目は気に入っています。これも出会いですね」

 

片目だけなのに思わず惹きつけられる。古代エジプト彫刻を思い出させるような切れ長の目元が美しい。遮光器土偶でも早い時期の作品ではないかという。

 

 

『目の眼』2018年8月号 特集〈日本列島 縄文アートめぐり〉より

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2018年8月号 No.503

日本列島 縄文アートめぐり

1万年という長い期間にわたって続いた縄文時代。日本列島では、有名な遮光器土偶、火焔型土器をはじめ、多様な土器や土偶、石製品が作られていました。近年、縄文時代の国宝が6件と増え、縄文のアートに注目が集まっています。そして、今夏いよいよ、東京国立博物館で大規模な縄文の特別展が開催され、国宝はもちろん、全国各地から縄文時代の逸品が結集します。そこで、目の眼では独自取材で各地域の特色ある出土品、コレクター愛蔵の縄文コレクションをご紹介します。また、北の大地に眠る縄文の聖地を白洲信哉氏が訪ねます。

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