目の眼2024年9月号 No.576

信楽の佇まい

土味と釉流しの色香

2024年08月16日 発売

定価 1,650円(税込)

六古窯のなかでも好む人が多い信楽(しがらき)。他の古窯よりやや遅い鎌倉時代に生まれたとされ、壺や甕、鉢を生産していましたが、15世紀後半に茶の湯の道具として重宝されるようになります。釉薬をかけず、素地を高温で焼く「焼締」の陶器で、赤褐色の火色や焼成された際にできる自然釉の流れ、石ハゼ、焦げなどの見どころが多く、均等ではないスタイルは茶人たちの「侘数奇」の美に通じ、多くの文化人に好まれました。昭和40年代に古窯の一大ブームが起こった時の中心にあり、いまも古美術好きを魅了する信楽の魅力に迫ります。

特集 Special Feature

信楽の佇まい 土味と釉流しの色香

[エッセイ] 古信楽のけしきに魅せられた人々/白洲信哉

侘と寂をうつわにうつす 古信楽のたたずまい/大月倫子

信楽の最大の魅力 窯変の多彩な表情

廣田不孤斎の茶道具

[美術館訪問] 愛知県陶磁美術館

 

[古美術店の信楽を見る]

ロンドンギャラリ

壺中居

古美術柳

古美術近藤

尚古堂

 

コラム

[ 雪山酔夢] 近衞忠大

[ 骨董片々録] 勝見充男

[ 京都女子ログ] 永松仁美  

[ 大英博物館] 矢野明子

 

連載

漢籍煎茶趣味潮田洋一郎

菓子皿考/内田風知

ほっとけない仏たち 徳島1

井戸寺の十一面観音(徳島市)/青木 淳 

七つの海を渡る中国陶磁 

人物文様は物語る(六) 「禹、獣を降服させる」 /金 立言

寄り添うかたち 地母神からヴィーナスへ / 宇井浩一

仏教美術逍遥 菅原大三郎の仏像修理と旧蔵仏 /瀨谷貴之

美の仕事 古美術三樹  /茂木健一郎

花ノ風物 銀座 黒田陶苑 /池坊専宗

 

トピックス&レポート

やきものの景色[サンリツ服部美術館]

フランス陶器に見る 「日本」/柴田アニー・政章

松本市「池上百竹亭」良寛書画展[池上百竹亭]

海外オークション情報

茶の湯以前 中世鎌倉の「茶」[神奈川県立金沢文庫]

日経×目の眼特別講演会レポート

迫田岳臣 /古代ガラス復元への挑戦[高梁市成羽美術館]

美術店案内マップ

骨董市・骨董フェア情報

展覧会情報

書評

次号予告

COMING NEXT

次号予告

10月号特集 「李朝空間 癒やしのかたちと色」

日本とは文化的に近しく、かつ異なる美を持つ李朝のやきものや絵画、道具や家具は、古くから日本の蒐集家に愛されてきました。近年は韓流ドラマが定着して、李朝時代の歴史に興味を持つ方も多く、李朝時代の骨董は新しいファンを増やしています。今回の特集では李朝の古美術を用いた心地良い空間の愉しみをご紹介します。

さらに今年は3年に一度の東美特別展が開催されます。いち早く詳細をご紹介します。