眼の革新 鈍翁、耳庵が愛した小田原の風 RECOMMEND 松永記念館内にある老欅荘(旧松永安左ヱ門邸宅)の松下亭露地門 小田原は明治時代から風光明媚な保養地として、多くの政財界人、文化人が別邸を構えていた。 益田鈍翁が小田原の高台に位置する板橋に掃雲台を構えたのは1913年(大正2)年頃のこと。2万坪という広大な敷地には邸宅と10庵の茶室のほか、ミカン畑、缶詰工場、鶏舎などあった。近隣には第3・9代内閣総理大臣山縣有朋の古稀庵、大倉財閥を設立した大倉喜八郎の共寿亭(現・山月)があり、小田原詣でをする財界人が絶えなかったという。 小田原三茶人とよばれる益田鈍翁、松永耳庵、野崎幻庵(広太)をはじめ、横井(半三郎)も茶室を設え、互いに茶会に招いては一服の交歓と逸品の眼福を愉しんだ。現在では掃雲台があった往事の景観を見ることはできないが、松永記念館に一部移設された遺構から偲ぶことができる。 下り龍/益田鈍翁旧蔵 かつて掃雲台の不動龍に配されていた。松永記念館蔵 『目の眼』2024年1月号 Information 収蔵資料展「春の書画」 会期 2024/1/4〜 会場 20251216 住所 神奈川県小田原市板橋941-1(箱根登山鉄道「箱根板橋駅」下車徒歩10分) URL https://www.city.odawara.kanagawa.jp/public-i/facilities/matsunaga/ TEL 0465-22-3635 RELATED ISSUE 関連書籍 目の眼2024年1月号 No.568 眼の革新 時代を変えたコレクターたち 骨董・古美術は変わらないよう見 えて、実はとても流行に左右され ています。明治期の茶の湯の変革、 大正から昭和にかけての朝鮮陶磁の発見と鑑賞陶磁の発展など、時代ごとにブームが起こり、人々の美意識を変える特筆すべき革新が 起こりました。その背景には新しい独自の視点を持った稀代のコレクターたちの存在がありました。 1月号はそうした「眼の下剋上」を行ったユニークなコレクターたちを紹介します。 雑誌/書籍を購入する 読み放題を始める POPULAR ARTICLES よく読まれている記事 超! 日本刀入門Ⅰ|日本刀の種類について解説します Armors & Swords | 武具・刀剣 東京・京橋に新たなアートスポット誕生 TODA BUILDING Others | そのほか 稀代の美術商 戸田鍾之助を偲ぶ People & Collections | 人・コレクション 箱根小涌谷 岡田美術館、2013年オープン時のコレクションを振り返る People & Collections | 人・コレクション 小さな煎茶会であそぶ 自分で愉しむために茶を淹れる 佃梓央前﨑信也History & Culture | 歴史・文化 企画展|久米島紬展(東京日本橋) 天然の素材と伝統、職人の技がつまった「久米島紬」が一挙に展示 History & Culture | 歴史・文化 展覧会紹介|V&A博物館 縄文からつづく祈りを纏う。岡﨑龍之祐初のV&A展「JOMONJOMON」 山田ルーナPeople & Collections | 人・コレクション 展覧会紹介|神奈川県立金沢文庫 金沢八景みほとけ巡礼、鎌倉・金沢の仏像ルーツを観る展覧会 Religious Arts | 宗教美術 展覧会紹介|田端文士村記念館 「書画骨董は非常に好きだ」芥川龍之介の骨董 People & Collections | 人・コレクション イベント紹介|現代素材問答 ristorante DONOから始まる、「美味しいは、美しい」という新しいアートの在り方 Vassels | うつわ 骨董ことはじめ⑥ 骨董ビギナー体験記|はじめて骨董のうつわを買う Others | そのほか コラム|大豆と暮らす#5 消えかかる台湾との縁。台湾で生まれた祖父と、日本で生きた曽祖父の物語 稲村香菜History & Culture | 歴史・文化