十手 破邪顕正の捕物道具

谷口柳造著

時代劇でおなじみの十手。本書は、室町時代後期から昭和初期まで、街の治安を守ってきた捕方役人たちが実際に使用してきた十手約300点をはじめ捕縄・手鎖・錠前など谷口柳造さんが収集した各種捕物道具を集大成した、たいへん貴重な一冊!

十手の起源から現代の警棒に至るまでの歴史的展開と、バラエティ豊かな造形と機能美の今まで知らなかった世界が体験できます。

第一章 十手の研究
…各部位の名称・役割/宝棒から鼻捻へ/鐵杖、吾杖、鐵塔(鉄刀)/打ち払い十手/文禄の役と捕具の成り立ち/十字實手/転木/竹十手/真鍮十手/脇差・短刀拵え十手/遠島と島十手/目盛付十手/米差十手/etc.

第二章 捕縛の理念
…捕縛の起源/捕縛の理念/不動印/九字護身法/卍秘法/捕縄四季弁色の制/軍陣縄/手縄/破邪顕正の型/江戸町方十手捕縛扱い様/江戸幕府の捕縄法/法蔵寺の早縄/不動印と十手

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六古窯のなかでも好む人が多い信楽(しがらき)。他の古窯よりやや遅い鎌倉時代に生まれたとされ、壺や甕、鉢を生産していましたが、15世紀後半に茶の湯の道具として重宝されるようになります。釉薬をかけず、素地を高温で焼く「焼締」の陶器で、赤褐色の火色や焼成された際にできる自然釉の流れ、石ハゼ、焦げなどの見どころが多く、均等ではないスタイルは茶人たちの「侘数奇」の美に通じ、多くの文化人に好まれました。昭和40年代に古窯の一大ブームが起こった時の中心にあり、いまも古美術好きを魅了する信楽の魅力に迫ります。