展覧会紹介|神奈川県立金沢文庫 金沢八景みほとけ巡礼、鎌倉・金沢の仏像ルーツを観る展覧会 RECOMMEND 神奈川県立金沢文庫 開館95年特別展 金沢八景みほとけ巡礼 主任学芸員 瀨谷貴之さんに聞く鎌倉・金沢の仏像ルーツ 神奈川県立金沢文庫 開館95年特別展「金沢八景みほとけ巡礼」が開催中です。金沢地区の仏様を一堂に拝観できます。金沢地区は金沢北条氏がつくった最古の武家文庫である金沢文庫と、国宝の称名寺聖教で有名ですが、平安時代の仏像も多く、鎌倉以前から開けた地であったことがわかります。 展覧会を担当された主任学芸員の瀨谷貴之さんに見どころを伺いました。 ▷ 瀬谷貴之さんの解説全文は目の眼倶楽部会員サイトでご覧いただけます(有料記事)。 目の眼デジタルプランか、雑誌プランをご購読いただくと、会員サイトの記事もご覧いただけます。プランのご案内はこちら。 金沢地区は、鎌倉時代中期に北条実時(1224-1276)が創建した称名寺と、多数の経典や貴重書を集めた日本最古の武家文庫である金沢文庫で知られています。 その金沢文庫があった場所にある神奈川県立金沢文庫は、国宝の称名寺聖教や運慶作の大威徳明王像などを管理公開するとともに、関連する仏像や仏教美術、史料を展示してきました。ですが、ここ金沢文庫周辺の仏像だけの展覧会というのは、これまで開催した事がありませんでした。 以前から企画しようという話があり、今年に入って、いよいよ近辺の仏像をご紹介することになりました。 昔、金沢区は海が深く入り込む内海になっており、鎌倉時代には外港として栄えていたようです。近世になると金沢八景という風光明媚な名所として賑わい、金沢三十四観音巡礼としても発展整備されました。そのため、金沢区には数多くのお寺、神社があり、仏像が伝来しています。 第1章は平安時代から鎌倉時代初期まで、古い時代の金沢の仏像をご紹介しています。運慶作の大威徳明王像(国宝・光明院像・神奈川県立金沢文庫管理)も展示しています。 第1章 菩薩坐像 奈良時代 龍華寺 横浜市指定有形文化財 鎌倉は頼朝が来て、幕府ができて、突然開けたというイメージあると思いますが、最近の研究によって、六浦は平安時代後期から外港として栄えていたことがわかってきました。 源頼朝が鎌倉に入ることにこだわったのも、頼朝の父・義朝が鎌倉を拠点にして、関東で暴れ回っていたからです。このことは大河ドラマ「鎌倉殿の十一人」でも描かれていましたので、ご存知の方も多いと思います。 第2章は鎌倉時代中期、金沢に北条実時によって真言律宗の称名寺ができて、栄えた時代のお像です。 第2章 右から 観音・勢至菩薩立像 鎌倉時代 称名寺 釈迦如来像 院保作 徳治3年(1308)称名寺 重要文化財 文殊菩薩坐像 鎌倉時代 三艘町内会館 文殊菩薩騎獅子像 南北朝時代 龍華寺 第3章は、謎の中世寺院と題して、今は廃寺になったものの金沢・六浦地区にとって重要な三ヶ寺と、そのお寺にあった仏像をご紹介しています。 地蔵菩薩坐像 朝栄作 永徳3年(1383) 静岡・林際寺 金沢地区の観音菩薩像を一堂に展示 最後の第4章は江戸時代の金沢八景巡りになります。巡礼する観音や地蔵が札所となるお寺にあるわけですが、古いお像が多い事が金沢区の歴史を物語る、一番の特徴と言えるでしょう。 *********** ▷ 瀬谷貴之さんの解説全文は目の眼倶楽部会員サイトでご覧いただけます(有料記事)。 目の眼デジタルプランか、雑誌プランをご購読いただくと、会員サイトの記事もご覧いただけます。 プランのご案内はこちらから 目の眼倶楽部デジタルプラン(目の眼デジタル月額読み放題) 雑誌プラン(紙版『目の眼』年間購読) プランをご利用いただくと、会員限定の記事をご覧いただけるほか、展覧会の招待プレゼントなどの特典にご応募いただけます。 Information 神奈川県立金沢文庫開館95周年特別展「金沢八景みほとけ巡礼―仏像からよみとく金沢の歴史―」 2025年09月05日 ~ 2025年11月09日 会場 神奈川県立金沢文庫 住所 神奈川県横浜市金沢区金沢町142 URL https://www.pen-kanagawa.ed.jp/kanazawabunko/index.html TEL 045-701-9069 入場料 一般600円、20歳未満及び学生500円、65歳以上200円、高校生100円ほか 備考 開館時間:9時〜16時30分(入館は16時まで) 休館日:毎週月曜日(ただし9月15日、10月13日、11月3日は開館)、9月16日(火曜日)、9月24日(水曜日)、10月14日(火曜日)、11月4日(火曜日) RELATED ISSUE 関連書籍 目の眼 電子増刊第6号 残欠 仏教美術のたからもの デジタル月額読み放題サービス 今特集では仏教美術の残欠を特集。 残欠という言葉は、骨董好きの間ではよく聞く言葉ですが、一般的にはあまり使われないと思います。ですが、骨董古美術には完品ではないものが多々あります。また、仏教美術ではとくに残欠という言葉が使われるようです。 「味わい深い、美しさがあるからこそ、残欠でも好き」、「残欠だから好き」 残欠という響きは実にしっくりくる、残ったものの姿を想像させます。そこで今回は、残った部分、残欠から想像される仏教美術のたからものをご紹介します。 試し読み 購入する 読み放題始める POPULAR ARTICLES よく読まれている記事 私家本拝見① |「島桑 江戸指物の世界」 受け継がれる美意識、指物師の魂が宿る「島桑」の美術工芸品をまとめた1冊 Ornaments | 装飾・調度品 骨董ことはじめ③ 青磁 漢民族が追い求める理想の質感 History & Culture | 歴史・文化 台北 古美術探訪|国立歴史博物館 歴史と古美術を満喫、台北「国立歴史博物館&植物園」を探訪 History & Culture | 歴史・文化 辻村史朗(陶芸家)・永松仁美(昂KYOTO) 辻村史朗さんに “酒場”で 学ぶ 名碗の勘どころ「黒茶碗の魅力」 Vassels | うつわ 骨董ことはじめ⑤ 明治工芸という世界|清水三年坂美術館・村田理如コレクション People & Collections | 人・コレクション 展覧会紹介|東京ステーションギャラリー 世界を旅するインド更紗。時を超えて愛される文様と色彩の物語 Ornaments | 装飾・調度品 新しい年の李朝 李朝の正月 青柳恵介 青柳恵介People & Collections | 人・コレクション 展覧会紹介|V&A博物館 縄文からつづく祈りを纏う。岡﨑龍之祐初のV&A展「JOMONJOMON」 山田ルーナPeople & Collections | 人・コレクション 世界の古いものを訪ねて#5 二千年の湯けむりと、五千年の石の輪を旅して 山田ルーナHistory & Culture | 歴史・文化 連載|辻村史朗(陶芸家)・永松仁美(昂KYOTO) 辻村史朗さんに “酒場”で 学ぶ 名碗の勘どころ「志野茶碗」(後編) Ceramics | やきもの 超! 日本刀入門Ⅰ|日本刀の種類について解説します Armors & Swords | 武具・刀剣 茶の湯にも取り入れられた欧州陶磁器 阿蘭陀と京阿蘭陀 Ceramics | やきもの