目の眼ブックス 旅する美

月刊「目の眼」に掲載した文章や写真を再構成して出版する目の眼ブックス。
その第一弾は、白洲信哉前編集長が目の眼誌上で出会った古い美しいもの。宇佐神宮の宝物、伊豆山神社の美術、飛騨の円空仏、白洲正子をめぐる春日大社、湖北の仏、櫟野寺など、13の古いものと出会う旅を収録。
臨場感あふれる白洲流の旅の楽しみ方を知ることができます。

第一章 聖地巡礼
 八幡の故郷 宇佐
 東国の要 伊豆山
 円空の淵源 白山
 海神の本拠 宗像

 コラム——1 純度の高い「美」

第二章 神と仏
 三德山三佛寺投入堂
 ご神像
 四国お遍路
 西大寺叡尊と五輪塔

 コラム——2 「朱」色を生んだ源泉

第三章 白洲正子の足跡を追う
 「春日の春日の国」を巡る
 湖北の仏
 かくれ里の秘仏

 コラム——3 モノとは苦労すること

第四章 海外にて
 米国「美」の殿堂
 百済の古都

 コラム——4 タイムマシン

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目の眼2024年9月号 No.576

信楽の佇まい

土味と釉流しの色香

六古窯のなかでも好む人が多い信楽(しがらき)。他の古窯よりやや遅い鎌倉時代に生まれたとされ、壺や甕、鉢を生産していましたが、15世紀後半に茶の湯の道具として重宝されるようになります。釉薬をかけず、素地を高温で焼く「焼締」の陶器で、赤褐色の火色や焼成された際にできる自然釉の流れ、石ハゼ、焦げなどの見どころが多く、均等ではないスタイルは茶人たちの「侘数奇」の美に通じ、多くの文化人に好まれました。昭和40年代に古窯の一大ブームが起こった時の中心にあり、いまも古美術好きを魅了する信楽の魅力に迫ります。