企画展紹介|下井美術 樂のすべてが揃う即売会 RECOMMEND 樂三代 ノンカウ 赤茶碗 樂五代 宗入 黒茶碗 東京・京橋の茶道具店「下井美術」にて、恒例企画「樂のすべてが揃う即売会」が10月1日から開催される。 2004年、京橋の骨董街に開店して以来、楽名碗専門店として20年続いてきた同店は、一貫して樂茶碗を主力商品として扱ってきた。20年の間にお店を支えてくれるお客様がだんだんと増えてきているが「樂のすべてが揃う即売会」は、より広くの愛好家に楽茶碗の魅力を知ってほしい、と毎年春と秋の年2回開催を続け、今回で36回目となるという。 樂六代 左入 赤茶碗 樂十四代 覚入 赤茶碗 馬の絵十五代直入画 「当店はいついらっしゃっていただいても樂家歴代の茶碗とそれにちなむ茶道具を取り揃えておりますが、この期間はさらに幅広い品揃えを心がけ、初心者の方や海外からのお客様にも楽しんでいただけるよう準備しております」と店主の下井さん。 樂三代 ノンカウ 宝珠香合 四代一入 獅子香合 老舗の茶道具店でも、樂歴代の茶碗をすべて常備しているところ少ないが、今回はそれに加え、大樋焼の十代(陶冶斎)と十一代・長左衛門の作品も紹介されるほか、ノンカウ(三代)の宝珠香合や一入(四代)の獅子香合、慶入(十一代)の獅子香合など造形的な魅力あふれる作品も展示される。なかでも珍しいのは、惺入(十三代)による鹿香炉。樂家の伝統を追い求めた茶碗制作の一方で、この香炉には独自のスタイルや好みが感じられるという。このほか向付や菓子皿といった歴代の食器も、初心者にも求めやすい価格で販売されるとのことで、お好きな方は楽しみに訪ねていただきたい。 樂十三代 惺入 鹿香炉 近年は海外でも人気が高まっているという樂茶碗について、その魅力をうかがってみると 「樂家は現在まで16代、450年もの間続いていますが、手捏ねの技法は継承しつつも釉薬の調合については後継に伝えないという決まりがあります。つまり歴代はイチから釉薬を開発しなければならない使命を負っています。そして独自の表現と、伝統的な樂茶碗の両方を追求し続けないといけません。その苦闘の中から生み出される茶碗に宿った個性が、他には変え難い魅力を持っていると感じます」 樂十五代 直入 黒茶碗 会期は長いので、ゆったりと見比べてみてはいかがだろうか。 企画展データ 樂のすべてが揃う即売会 会期:10月1日(火)〜12月22日(日) 会場:下井美術 〒104-0031 東京都中央区京橋1-14-6 京橋宏陽ビル1F 電話:03-3535-2522 営業時間:10:00 – 18:00 定休日:10月16日(水)、11月6日(水) RELATED ISSUE 関連書籍 目の眼2024年12月号No.578 吉村観阿 松平不昧に愛された茶人 江戸時代後期に茶の湯道具の目利きとして知られた吉村観阿(よしむらかんあ)。今年、 観阿の生誕260年を機に、 福岡市立美術館が 初の吉村観阿展を開催します。 そこで『知られざる目利き 白醉庵吉村観阿』の著者 宮武慶之さん全面協力のもと、観阿の茶道具目利きの真髄、 江戸の茶文化を育んだ 松平不昧や酒井抱一らとの交流を紹介します。 試し読み 購入する POPULAR ARTICLES よく読まれている記事 超! 日本刀入門Ⅰ|日本刀の種類について解説します Armors & Swords | 武具・刀剣 茶の湯にも取り入れられた欧州陶磁器 阿蘭陀と京阿蘭陀 Ceramics | やきもの 美術史の大家、100歳を祝う 日本美術史家・村瀬実恵子氏日本美術研究の発展に尽くした60年 People & Collections | 人・コレクション リレー連載「美の仕事」|土井善晴 土井善晴さんが向き合う、桃山時代の茶道具 Ceramics | やきもの 最も鑑定がむずかしい文房四宝の見方 硯の最高峰 端渓の世界をみる People & Collections | 人・コレクション 羽田美智子さんと巡る、京都の茶道具屋紹介 茶道具屋さんへ行こう Vassels | うつわ 連載|美の仕事・茂木健一郎 テイヨウから、ウミガメに辿りついたこと(壺中居) Ceramics | やきもの 連載|真繕美 唐津茶碗編 日本一と評される美術古陶磁復元師の妙技1 Ceramics | やきもの 眼の革新 鈍翁、耳庵が愛した小田原の風 People & Collections | 人・コレクション TSUNAGU東美プロデュース 古美術商が語る 酒器との付き合い方 Vassels | うつわ アンティーク&オールド グラスの愉しみ 肩肘張らず愉しめるオールド・バカラとラリック Vassels | うつわ 書の宝庫 日本 人の心を映す日本の書 Calligraphy & Paintings | 書画