古道具坂田の美意識に共感したコレクションが国内オークションに出品 オークション情報|NEW AUCTION 2026年3月15日、東京・渋谷のNEW AUCTIONにて「The H.Y. Collection: Assembled from Furudougu SAKATA」 と題して、カリスマ的骨董商として知られた古道具坂田を通して蒐集した吉澤宏隆氏のコレクションセールが開催されます。 東京・目白駅前の大通りから一本入った静かな路地に佇んでいた古道具坂田。 店主の坂田和實(さかた・かずみ 1945〜2022)は、1973年に開店して以来、独特の感性と卓越した審美眼で「古道具」に宿る美を取り上げた骨董商です。 坂田和實は、1945年福岡県生まれ、上智大学卒業。就職するも会社を辞め、イギリスに1年ほど行ったのち、1973年に古道具坂田を開店しました。 中古のトラックをローンで買って仕入れに回り、拾った椅子を200円で売るという、何もないところからスタートした坂田氏でしたが、次第に商売が軌道にのると、仕入れのために年に数回ヨーロッパに行き、古い家具や道具などを中心に集め始めます。 川上がりの錆びたフォーク、黒ずんだ鎌や鋏、石製の箱、色褪せた手彩色のトランプ、すり減った木製のドアや椅子、使い込まれひび割れた器、握りしめられ表面が滑らかになった十字架など、日常生活で使われた道具類や毎日の祈りに捧げられた工芸品のやつれた姿にシンパシーを感じた坂田氏は、店もそれに合わせ、時代を経たものたちが最も魅力を放つ空間を作り出しました。 坂田和實の高い美意識と独特のセンスは、古美術愛好家だけでなく、デザイナー、建築家、アーティストといった人々に注目されていきます。 民藝運動の一躍を担った染色家芹沢銈介、失われつつあった日本の美を愛した随筆家白洲正子など、一流の文化人も彼の店を訪れるようになりました。 なかでも坂田氏の扱ったものとして知られているものの一つに、アフリカ、ドゴン族の木製品があります。立ち木を切り、刻みをつけただけの階段は、使うためだけに作られたにもかかわらず、一つとして同じもののない面白さ、魅力を持っています。 1994年、坂田氏は千葉の緑豊かな房総丘陵にmuseum as it is(千葉県長生郡長南町岩撫41)をオープンします。設計は古くから坂田氏に共感し、親交の深かった建築家中村好文氏です。 as it isとは「あるがまま」という意味。掘り起こした土を使ったという土壁の佇まい、国や時代、用途などの解説が一切ない展示は、ただその存在をあるがままに感じてほしいという、まさに坂田氏が目指した美意識の集大成となっています。 1999年から「芸術新潮」で始まった連載「ひとりよがりのものさし」は大きな反響を呼び、その存在が広く知られるようになると、多くの人々が坂田氏の感性に共感し、若い骨董商にも大きな影響を与えました。2003年に一冊にまとめられると版を重ね、坂田ファンのバイブルとなっています。 2012年には渋谷区立松濤美術館で展覧会「古道具、その行き先—坂田和實の40年」を開催。30代を中心に多くの来場者が訪れ、その感性が普遍的であることを印象づけました。 2022年、坂田和實氏は惜しくも78歳で亡くなられましたが、今もその審美眼への評価とカリスマ的な人気は高まるばかりです。 坂田和實は、大きな影響を受けたという民藝を出発点に、古くなり、自然と朽ち、錆びたものの持つ美しさを見出し、抽出して見せました。そのスタイルは現代美術的な表現としても注目され、世界的な評価も高まっています。 2024年には、現代美術家の青柳龍太氏により、中国・杭州のBY ART MATTERS (天目里美術館) にて「古道具坂田 僕たちの選択」展が開催され、数多くの人々が来場し成功を収めました。中国では初めてという回顧展図録も刊行されています。 このたびNEW AUCTIONで開催されるセールには、すべて「古道具坂田 僕たちの選択」展に出展されたワンコレクションで、総点数198点。 コレクターの吉澤宏隆氏は、30年程前から古道具坂田に通い、ご自身が共感できた「ピュアなもの」、「静かで内に秘めたもの」、「枯れはてたもの」を、「この品を理解できるのは自分が一番だ」という想いから買い集められたそうです。(オークション図録より) これほどの点数の坂田和實の眼を通し、一人のコレクターが蒐集したコレクションが一堂にセールとなるのは、今後も滅多にないでしょう。この貴重な機会にぜひ参加してみてはいかがでしょうか。 ▷ BROWSE CATALOGUE AND BID *オークションプレビューに先立ち、2月26日(木)から3月7日(土)まで「NEW」にて本セールのハイライトビューイングが開催されています。ハイライト作品の展示やカタログの配布が行われています。 ◇ INFORMATION The H.Y. Collection: Assembled from Furudougu SAKATA https://newwwauction.com/catalog/2026031501/ ◎ HIGHLIGHT VIEWING The H.Y. Collection: Assembled from Furudougu SAKATA 2026年2月26日(木) – 3月7日(土) 12:00 – 19:00 会場: NEW 東京都渋谷区神宮前5-9-15 B1F (MAP) ◎PREVIEW 2026年3月11日(水) – 3月14日(土) 11:00 – 20:00 (最終日のみ17:00まで) ◎AUCTION 2026年3月15日(日) OPEN: 12:30 START: 13:00 会場: SAI 東京都渋谷区神宮前6-20-10 MIYASHITA PARK SOUTH 3F (MAP) ◎お問合せ NEW AUCTION NEWWWAUCTION.COM TEL 03–6419-7577 EMAIL info@newwwauction.com RELATED ISSUE 関連書籍 2017年12月号 No.495 池坊555年 古器に生ける 2026年3月15日、東京・渋谷のNEW AUCTIONにて「The H.Y. Collection: Assembled from Furudougu SAKATA」 と題して、カリスマ的骨董商として知られた古道具坂田を通し… 雑誌/書籍を購入する 読み放題を始める POPULAR ARTICLES よく読まれている記事 2023年8月号 特集「猪口とそばちょこ」 不思議に満ちた そばちょこを追って Vassels | うつわ 超 ! 日本刀入門Ⅱ|産地や時代がわかれば、刀の個性がわかります Armors & Swords | 武具・刀剣 TSUNAGU東美プロデュース 古美術商が語る 酒器との付き合い方 Vassels | うつわ 大豆と暮らす#2 うなぎもどき|日本人と大豆の長い付き合いが生んだ「もどき料理」 Others | そのほか 日本最大級の骨董街 日本橋・京橋エリアがアートに染まる3日間 東京アートアンティーク2026 〜日本橋・京橋まつり〜 Others | そのほか 藤田傳三郎、激動の時代を駆け抜けた実業家の挑戦〈前編〉 People & Collections | 人・コレクション Book Review 会津に生きた陶芸家の作品世界 Others | そのほか 藤田傳三郎、激動の時代を駆け抜けた実業家の挑戦〈後編〉 People & Collections | 人・コレクション 編集部レポート スキモノムスヒの会、待望の東京での茶事に初参加 Others | そのほか 世界の古いものを訪ねて#10 私たちはなぜ古代エジプト美術に惹かれるのか。秘宝をめぐる。 History & Culture | 歴史・文化 人材育成プロジェクト|東京美術倶楽部 千年の技と美意識を世界へ、KOGEIアート・プロデューサー育成始動 Others | そのほか 日本橋・京橋をあるく 特別座談会 骨董街のいまむかし People & Collections | 人・コレクション