目の眼4・5月号特集「浮世絵と蔦重」 東京国立博物館に蔦重の時代を観に行こう RECOMMEND 特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」(2025年4月22日〜6月15日)は、松方コレクションの浮世絵約8千点を所蔵する東京国立博物館が、いま話題の蔦屋重三郎を切り口に新たな着眼点で浮世絵と江戸文化をみせる展覧会です。そこで、展覧会をより面白く観るために知っておきたい、観た後にさらに深めたいポイントをご紹介。近世絵画がご専門で、展覧会を担当された松嶋雅人さんにお話を伺いました。 *記事全文は、雑誌『目の眼』2025年4・5月号に掲載されています。 目次 袖に注目! 版元蔦唐丸でござい。蔦重から江戸文化が見えてくる蔦重を読めば“今”がわかる袖に注目! 版元蔦唐丸でござい。 『箱入娘面屋人魚(はこいりむすめ めんや にんぎょう』 山東京伝 作 墨摺小本 寛政3年(1791) 正月 東京国立博物館蔵 出展期間:通期展示 ※会期中、頁替えあり 人気作家山東京伝は、出版統制で手鎖50日の処罰を受け、蔦重も罰金刑に。もう戯作はやめるという京伝を拝み倒し、当年だけはと新作を書いてもらったと巻頭に「まじめなる口上」と題して挨拶。袖に蔦屋の版元印が描かれ、蔦重本人が手をついて挨拶する姿とわかります。 蔦重から江戸文化が見えてくる インタビュー 松嶋 雅人さん 東京国立美術館 学芸企画部長 松嶋雅人さん 日本近世近代絵画史を中心に研究。近著に『蔦屋重三郎と浮世絵 「歌麿美人」の謎を解く』(NHK出版新書)。 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(NHK)の近世美術史考証を担当。 蔦重を読めば“今”がわかる ——蔦屋重三郎が出した浮世絵や版本は、当時の社会にどんな影響があったのでしょうか? 松嶋 この時代の浮世絵や版本の動向を総合すると、蔦重が起点となって情報の拡散が生じていることがわかります。当初は吉原の情報を、細見をはじめ絵本や戯作という形で蔦重が市中に発信しました。やがて、蔦屋の新刊を読めば、今、世間で何が起きているか、何が流行っているかがわかるという認識が定着し、人々はこぞって最新のリアルな情報を求めるようになったのです。 蔦重が刊行した浮世絵や黄表紙は、基本的にどれも「ニュース性」が命でした。一年前の週刊誌に現在的な情報価値がないように、実在する狂歌師や戯作者、今現在に話題となっている遊女や町娘が出てこないと意味がありません。役者絵も、興行に合わせて制作販売された一過性のもので、今で言うと公演のチラシやポスターのようなメディアでした。ニュース性の高い情報にアクセスできるからこそ、人々は蔦屋の商品を求め、一過性のものだからこそ継続的に求め続けたのです。 このことは、情報に対する人々の感度を高め、同時に市中の多くの人々のより一層の文字リテラシーの底上げにもつながりました。江戸時代中期には、日本の識字率は世界トップクラスだったと言われます。その大きな契機のひとつであるのが、江戸の地本であり、狂歌が流行れば猫も杓子もこれに打ち興じるというような社会現象も起き得たわけです。(・・・ つづく) 「青楼十二時続戌ノ刻(せいろうじゅうにじ つづき いぬのこく」 喜多川歌麿筆 大判錦絵 寛政6年(1794)頃 東京国立博物館蔵 出展期間:前期4/22〜5/18 吉原の遊女たちのリアルな日常を描いた12枚揃いの内の一枚。 戌の刻は午後8時から10時の間で、恋文を書いている遊女を呼びに来た禿のやり取りを描いている。 重要文化財「二代目瀬川富三郎の妻やどり木」 東洲斎写楽筆 大判錦絵 寛政6年(1794) 東京国立博物館蔵 出展期間:4/22〜5/18 蔦重のリアリズム指向が見出した東洲斎写楽の役者絵は、役者のありのままの似顔を描いたために不評を買った。 ****** 続く ****** 記事全文は、雑誌『目の眼』2025年4 ・5月号でご覧いただけます。 ▷ 詳しくは オンラインストアへ。 ▷ デジタルプラン(目の眼デジタル読み放題サービス)をご利用中の方は、読み放題サービスへログインして 『目の眼』4・5月号デジタル版をご覧ください。 特別展 蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児 会場:東京国立博物館 平成館 会期:4月22日(火)〜6月15日(日) 開館時間:9時30分〜17時 毎週金・土曜、5月4日(日・祝)、5日(月・祝)は20時まで(入館は閉館の30分前まで) 休館日:月曜日、5月7日(水) ただし、4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館 観覧料:一般2100円 大学生1300円 高校生900円 中学生以下無料 問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル) ※会期中に展示替えがあります。 月刊『目の眼』2025年4・5月号より Information 特別展 蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児 会期 2025年4月22日(火)〜6月15日(日) 会場 20260128 住所 東京都台東区上野公園13-9(上野公園内) URL https://tsutaju2025.jp/ TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル) ※開館時間、料金などはサイトをご確認ください。 RELATED ISSUE 関連書籍 目の眼2026年2・3月号No.585 須恵器 世界を変えたやきもの SUEKI Change the World これまでにない大規模な須恵器の展覧会が、愛知県陶磁美術館から、兵庫、山口、東京と巡回します。 古墳時代に大陸から渡ってきた窯焼の技術によって、それまで日本になかった硬質のやきものが作られるようになりました。日本最大のイノベーションといわれる須恵器の誕生です。約30年ぶりという本格的な須恵器の展覧会を機会に、コレクターによる須恵器の愛玩の変遷もみながら、ご紹介します。 試し読み 購入する 読み放題始める POPULAR ARTICLES よく読まれている記事 リレー連載「美の仕事」|土井善晴 土井善晴さんが向き合う、桃山時代の茶道具 土井善晴Ceramics | やきもの 夏休みにおすすめ! 古代ガラスの展覧会 Ornaments | 装飾・調度品 藤田傳三郎、激動の時代を駆け抜けた実業家の挑戦〈後編〉 People & Collections | 人・コレクション 骨董ことはじめ⑥ 骨董ビギナー体験記|はじめて骨董のうつわを買う Others | そのほか 企画展紹介|青花室(花元) 石に宿った祈りの時間 展示即売会「石のもの〜国東の石塔その他〜」 Religious Arts | 宗教美術 オークション情報|雅寳(GAVEL) 11/15、随代白磁碗6品が揃う稀少な中国美術オークションが大阪で開催 Others | そのほか インタビュー|作家・澤田瞳子さん 不孤斎が生きた日本美術が変わる時代が面白い People & Collections | 人・コレクション スペシャル鼎談 これからの時代の文人茶 繭山龍泉堂 30年ぶりの煎茶会 龍泉文會レポート People & Collections | 人・コレクション 連載|辻村史朗(陶芸家)・永松仁美(昂KYOTO) 辻村史朗さんに “酒場”で 学ぶ 名碗の勘どころ「井戸茶碗」(後編) Ceramics | やきもの 企画展紹介|ザ・プリマ・アートセンター(韓国) ソウルに新たな美術館 誕生 THE PRIMA ART CENTER Ceramics | やきもの 展覧会紹介|CURATION ⇄ FAIR Tokyo 2026 CURATION⇄FAIR Tokyo 2026が、東京kudan houseで開催 Others | そのほか 書の宝庫 日本 人の心を映す日本の書 Calligraphy & Paintings | 書画