展覧会紹介|荏原 畠山美術館 畠山即翁×杉本博司 数寄者の美意識を体感する RECOMMEND 重要文化財 清滝権現像 鎌倉時代 13世紀 荏原 畠山美術館 後期展示 十一面観音立像/二十五菩薩来迎図 Photo: Masatomo Moriyama 平安時代/鎌倉時代 小田原文化財団蔵 杉本コレクション 昨年、約4年半に及ぶ大規模リニューアルを経て新しく「荏原 畠山美術館」として生まれ変わった同館が、現代美術作家・杉本博司氏とともに手がけた展覧会『新館開館一周年記念 「数寄者」の現代―即翁と杉本博司、その伝統と創造』が10月4日より開催されている。(〜2025.12/14迄) 千利休 竹一重切花入 銘「江之浦」 Photo: Masatomo Moriyama 桃山時代 小田原文化財団蔵 杉本コレクション 重要文化財 割高台茶碗 朝鮮時代 16世紀 荏原 畠山美術館蔵 通期展示 同館の創立者・即翁 畠山一清は、実業家・茶人として活躍し“近代数寄者”と呼ばれた近代日本を代表するビッグコレクターの一人。もともと能登半島の七尾を収めた畠山氏の出で、ポンプ販売から製造を一手に担う「荏原製作所」を創業して成功。またその一方で能楽と茶の湯を愛し、多くの名物道具を蒐集した人物。 重要文化財 圜悟克勤墨跡 法語 南宋時代 12世紀 荏原 畠山美術館蔵 通期展示 昭和の初めに白金猿町の土地約三千坪を購し、私邸「般若苑」を造営。そして昭和39(1964)年には、その精神と蒐集品を、広く社会に広め共有する場として、苑内の一角に畠山記念館を開設した。このとき畠山は相当なこだわりを持って、展示室を作り上げたという。 一休宗純墨跡 尊林号 室町時代 15世紀 荏原 畠山美術館蔵 通期展示 以来同館は優れたコレクションを所蔵する私立美術館としてさまざまな展覧会を開催してきたが、2019年の春より約4年半に及ぶ改築工事を経て2024年に再始動を果たした。このとき公開された新館の基本設計を担当したのが杉本博司氏が主宰する新素材研究所である。つまり本展はその空間の趣旨と特徴を知り尽くした杉本氏によって、自らのコレクションとともに独自に展示構成したもので、同館の誇る名物道具たちをどのようなかたちで見せてくれるのか大いに楽しみだ。 杉本博司 和蘭陀手鹿香合 Photo: Masatomo Moriyama 2025年 小田原文化財団蔵 杉本コレクション 本記事では、同展に出陳される代表作とともに紹介するが、ぜひ会場でどのような空間が表現されているか、その目で体験して欲しい。 Information 新館開館一周年記念 「数寄者」の現代―即翁と杉本博司、その伝統と創造 開催中 ~ 2025年12月14日 会場 荏原 畠山美術館 住所 東京都港区白金台2-20-12 URL https://www.hatakeyama-museum.org/exhibition/000207.html TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル) 入場料 入館料:一般1,500円、高校生・大学生1,000円(中学生以下無料、要保護者同伴) ※オンラインチケット割引あり 備考 前期:10月4日(土)~11月9日(日)/後期:11月12日(水)~12月14日(日) 開館時間:10:00―16:30(入館は閉館30分前まで) 休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)、11月11日(火) 特別協力:公益財団法人小田原文化財団 RELATED ISSUE 関連書籍 目の眼 電子増刊第6号 残欠 仏教美術のたからもの デジタル月額読み放題サービス 今特集では仏教美術の残欠を特集。 残欠という言葉は、骨董好きの間ではよく聞く言葉ですが、一般的にはあまり使われないと思います。ですが、骨董古美術には完品ではないものが多々あります。また、仏教美術ではとくに残欠という言葉が使われるようです。 「味わい深い、美しさがあるからこそ、残欠でも好き」、「残欠だから好き」 残欠という響きは実にしっくりくる、残ったものの姿を想像させます。そこで今回は、残った部分、残欠から想像される仏教美術のたからものをご紹介します。 試し読み 購入する 読み放題始める POPULAR ARTICLES よく読まれている記事 昭和時代の鑑賞陶磁ブーム 新たなジャンルを作った愛陶家たち People & Collections | 人・コレクション 連載|辻村史朗(陶芸家)・永松仁美(昂KYOTO) 辻村史朗さんに “酒場”で 学ぶ 名碗の勘どころ「志野茶碗」(前編) Ceramics | やきもの 2023年8月号 特集「猪口とそばちょこ」 不思議に満ちた そばちょこを追って Vassels | うつわ 秋元雅史(美術評論家)x 北島輝一(ART FAIR TOKYOマネージングディレクター) スペシャル対談|アートフェア東京19の意義と期待 People & Collections | 人・コレクション 目の眼4・5月号特集「浮世絵と蔦重」 東京国立博物館に蔦重の時代を観に行こう Calligraphy & Paintings | 書画 目の眼4・5月号特集「浮世絵と蔦重」関連 目の眼 おすすめバックナンバー 1994年9月号「写楽二〇〇年」 Calligraphy & Paintings | 書画 骨董ことはじめ⑥ 骨董ビギナー体験記|はじめて骨董のうつわを買う Others | そのほか 小さな煎茶会であそぶ 自分で愉しむために茶を淹れる 佃梓央前﨑信也History & Culture | 歴史・文化 古信楽にいける 花あわせ 横川志歩 Vassels | うつわ 展覧会紹介|V&A博物館 縄文からつづく祈りを纏う。岡﨑龍之祐初のV&A展「JOMONJOMON」 山田ルーナPeople & Collections | 人・コレクション 根付 怪力乱神を語る 掌の〝吉祥〟を読み解く根付にこめられた想い Ornaments | 装飾・調度品 連載|美の仕事・茂木健一郎 テイヨウから、ウミガメに辿りついたこと(壺中居) Ceramics | やきもの