企画展紹介|Salon SCÈNE 北欧陶器とフランスのヴィンテージ家具の最先端をみる RECOMMEND 南青山にあるArt Salon SCÈNE(アートサロン シーン)で現在開催中の企画展「Dialogues in Form -北欧陶芸とフレンチヴィンテージ-」。勧める人があって訪ねたところ、たいへんおもしろかったの紹介したい。 本展は、スウェーデンを代表する陶芸家ヴィルヘルム・コーゲとベルント・フリーベリの作品を、フランスのヴィンテージ家具とともに紹介するもの。 このウォールシェルフはマルセル・ガスコアンによるもので、発表された当時からの人気作。ミニマルで木の質感を活かしたデザインはあらゆる空間で使用されてきました。(小澤さん) ヴィルヘルム・コーゲ(Wilhelm Kåge. 1889–1960)とベルント・フリーベリ(Berndt Friberg. 1899–1981)の2人はスウェーデンに生まれ、北欧デザイン最盛期のミッドセンチュリーに、名工房・グスタフスベリ製陶所で活躍した。2人は師弟関係でもあり、それぞれ独自に探求した繊細な釉薬による表現と、端正な造形で世界中に多くのファンを持ち、近年、日本の古美術コレクターにも注目されている。 デュルプトがフランスのメリベルスキーリゾートのために制作したテーブルとスツール。なかなか市場に出ない、珍しい一点です。(小澤さん) 今展では、この2人の作品と、フランスのヴィンテージ家具(シャルロット・ペリアン、クリスチャン・デュルプト、アンドレ・ソルネイ、ピエール・ガーリッシュ、ピエール・ガーリッシュ、ピエール・シャポー)らいま人気のデザイナーたちが手がけた家具とともに空間を構成しているのが見どころ。 「ジャンヌレやペリアン、プルーヴェはすでに日本でも有名で、その作品はなかなか手に入らない状態ですが、そのほかのデザイナーも、日本ではまだ広く知られていないものの、海外ではすでにコレクターに注目されるネクストカミングなデザイナーです。とくにおすすめはクリスチャン・デュルプトとアンドレ・ソルネイですね。デュルプトはペリアンと共にスキーリゾートの宿泊施設を設計した熟練の家具職人です。実際にスキーリゾートにあったテーブルやスツールが揃っています。ソルネイはコルビジェやペリアンとともに、モダニズムデザインの発展に貢献したデザイナーと言われており、特にフランスで人気が高いのですが、今回のキャビネットは設計事務所で本人が使っていたもので、大変貴重なコレクターズアイテムと言えます」と解説してくれたのは本展を企画した小澤 茜さん。 奥のキャビネットはソルネイが自身の設計事務所で使用していたもので、非常に希少性が高い一点です。内側のビスを取り換えたのみで、他は当時のままとなっ ています。右上の引き出しの底板がないのですが、ネット状の底がついているためそのままでもご使用いただけます。また手前の椅子はホテルニュージャパンのLoungeのためにデザインされた剣持勇によるラタン製ラウンジチェアです。(小澤さん) 本展は12/26までと会期が残りわずかなので、興味持たれた方にはぜひ尋ねていただきたいのだが、Art Salon SCÈNEは基本招待制・予約制とのこと。 ただ、木曜日、土曜日、日曜日はPublic Dayとして、誰でも予約なしで見られるそうなので、明日の21日と25日はお見逃しなく! なお、小澤さんは『目の眼』の熱心な愛読者だそうなので、この記事を読んだ方はその旨お伝えいただくと話が弾むかもしれません。 Information Dialogues in Form -北欧陶芸とフレンチヴィンテージ- 開催中 ~ 2025年12月26日 会場 Art Salon SCÈNE 住所 東京都港区南青山3-15-6 Ripple Square D-B1 URL https://scenetokyo.com/ 備考 開廊時間:12時〜18時 休廊日: 月曜、火曜、祝日 招待制・予約制 *Public Dayの木・土・日曜日は、ご招待状・ご予約は必要ありません。どなたでもご予約なしでご来場いただけます。 RELATED ISSUE 関連書籍 目の眼 電子増刊第7号 西洋骨董のある暮らし〜異国生まれの骨董しつらい デジタル月額読み放題サービス 特集「西洋骨董のある暮らし〜異国生まれの骨董しつらい」 日本では昔から外国産の文物をうまく取り合わせることが骨董あそびの極意とされています。今号は西洋をはじめとする異国生まれのアンティークをいまの私たちの暮らしに取り入れたしつらいやスタイル、うつわの使い方や遊び方のコツをプロの方々に教えてもらいました。 試し読み 購入する 読み放題始める POPULAR ARTICLES よく読まれている記事 藤田傳三郎、激動の時代を駆け抜けた実業家の挑戦〈後編〉 People & Collections | 人・コレクション 企画展|久米島紬展(東京日本橋) 天然の素材と伝統、職人の技がつまった「久米島紬」が一挙に展示 History & Culture | 歴史・文化 展覧会紹介|五島美術館 愛しの青 五島美術館で古染付・祥瑞をみる Ceramics | やきもの 連載|真繕美 唐津茶碗編 日本一と評される美術古陶磁復元師の妙技1 Ceramics | やきもの イベント紹介|スキモノムスヒ 茶と酒と人と道具と 軽やかに結ぶ スキモノムスヒ Vassels | うつわ 企画展紹介|ロンドンギャラリー六本木 仏教美術に触れる、金峯山遺物の粋を集めた展示会が開催 Religious Arts | 宗教美術 百済から近代まで 歴史の宝庫、韓国・忠清南道(チュンチョンナムド) History & Culture | 歴史・文化 最も鑑定がむずかしい文房四宝の見方 硯の最高峰 端渓の世界をみる People & Collections | 人・コレクション 展覧会紹介 「古道具坂田」という美のジャンル People & Collections | 人・コレクション 白磁の源泉 中国陶磁の究極形 白磁の歴史(2) 新井崇之Ceramics | やきもの TSUNAGU東美プロデュース 古美術商が語る 酒器との付き合い方 Vassels | うつわ 展覧会紹介|東京ステーションギャラリー 世界を旅するインド更紗。時を超えて愛される文様と色彩の物語 Ornaments | 装飾・調度品